5月のはじまりが近づくと、伊丹の人たちのあいだで「そろそろ、あそこに行きたいね」と話題にのぼる場所がある。
荒牧バラ公園。
約1.7ヘクタールの南欧風の庭園に、世界中から集められたおよそ250種・1万本のバラが植わっていて、春と秋の年に2回、街がふわっと甘くなる季節を作ってくれる場所です。
入園は無料。すぐそばに230台分の駐車場もあって、ふらっと立ち寄って2時間ほど歩いただけで、もう特別な一日になってしまう。
そんな伊丹の宝物のようなスポットを、ゆっくり紹介します。
段々畑のように降りていく、南欧風の庭
園内に足を踏み入れると、まず目に入るのはステップ状に下っていく不思議な構造。
坂を活かしてテラスのように区切られた花壇が、いくつもの段になって広がっていきます。
このゆるやかな高低差のおかげで、視線の高さでバラに出会える瞬間と、上から花畑全体を見おろせる瞬間が、歩くたびに切り替わります。
中央にあるのは、噴水を中心に放射状に広がるロザリウム。ベンチも点在していて、座って香りに包まれるだけの時間も、ちゃんと味わえます。
伊丹は、植木・造園の文化が長く根付いてきた土地。荒牧バラ公園もその延長線上にあって、「街の庭」としてゆるやかに開かれているのが伊丹らしい。
伊丹生まれの名花が並ぶ「ふるさとのバラコーナー」
実は伊丹は、バラの育種にゆかりの深い土地です。
園内の一角にある「ふるさとのバラコーナー」には、伊丹のイタミローズガーデン・寺西菊雄氏が作出した品種が集められています。
代表的なのは、
- 天津乙女(あまつおとめ) — やわらかな淡い黄色をまとった、寺西氏作出の名花
- マダム・ヴィオレ — 藤色が優美な品種。1981年に寺西氏が作出し、翌1982年に日本ばら会のJRC(ジャパン・ローズ・コンクール)に入賞した日本生まれのバラです
地元で生まれたバラに、地元で会える。それだけで、何度通っても飽きない理由になります。
品種名のプレートを見ながら歩くと、「このバラ、伊丹で生まれたんだ」と何度かはっとする瞬間があります。
🌹 訪れたら探してみてほしい
「ふるさとのバラコーナー」は園内マップにも記載されている小さなエリア。看板を見つけたら、ぜひ品種名のプレートを確認してみてください。淡い黄色や藤色のバラに「伊丹生まれ」のタグが添えられているのが見つかると、ちょっと嬉しい気持ちになります。
ベルギー・ハッセルト市との、バラを介した友情
伊丹市の姉妹都市、ベルギー・ハッセルト市にちなんだ「ハッセルトコーナー」もあります。
1985年の友好協定をきっかけに整備されたエリアで、ヨーロッパで愛されている品種が並びます。
園内にひっそりと立つ平和モニュメントも、その流れのなかで建てられたもの。
バラを通じて街と街がつながっている、というあたたかい背景が、この公園には静かに息づいています。

年に2回しか会えない、春と秋の見頃
バラには「四季咲き性」のものもありますが、荒牧バラ公園の見頃は大きく年2回。
| 春バラ | 5月中旬〜6月中旬 |
|---|---|
| 秋バラ | 10月中旬〜11月中旬 |
春は香りが豊かで色も鮮やか、秋はやや小ぶりだけれど凛とした表情。
どちらも1度は訪ねてみてほしい時期です。
📅 2026年・春の見頃情報(5月初旬時点)
公式の開花情報によると、5月1日時点で4分咲き。見頃は5月10日ごろと予想されています。
その日その日の咲き具合は、公式 Instagram @aramakirose や、みどりのプラザ公式サイトの開花情報ページ でこまめに更新されているので、お出かけ前のチェックがおすすめです。
アクセス
営業時間や定休日、駐車場や入園料などの基本情報はページ下部の「Information」にまとめています。ここでは、訪れるときの移動と施設まわりだけ補足します。
| バス | JR伊丹駅・阪急伊丹駅から伊丹市バスで約25〜30分 2番のりば 系統2(スポーツセンター前経由) または 4番のりば 系統3(伊丹病院住友前経由) 終点「荒牧バラ公園」下車すぐ |
|---|---|
| 車 | 中国自動車道・宝塚IC から約5分 |
| トイレ | 園内に2ヵ所(車いす対応あり) |
もっと楽しむための、ちょっとしたコツ
📷 写真好きへ
香りも色味も乗りやすいのは朝〜午前中。日射しが強い真昼は色が飛びやすいので、薄曇りの日のほうが品種ごとの色味の違いがきれいに撮れます。
- 香りを味わう — 大輪の品種ばかりに目が行きがちですが、小ぶりな品種ほど香りが強いものも多いです。ぜひ顔を近づけて
- 歩きやすい靴で — 段差や砂利のエリアもあるので、サンダルよりスニーカーが◎
- 平日の午前中が穴場 — 週末や見頃のピークは混みあいます。ゆっくり過ごすなら平日午前
1年に2回、伊丹で咲く奇跡
世界中の名花が、伊丹の街中にこんなに集まっているのは、本当はとても贅沢なこと。
それも、入園料は無料。気軽に、何度でも、季節をめぐりに行ける。
街に住んでいると、近すぎて行きそびれてしまう場所こそ、意識して足を運びたい。
2026年の春バラは、もうすぐピークです。今年もぜひ、伊丹のバラに会いに行ってみてください。
